夫婦で(両親が)老人ホームに入居 マイホーム(居住用財産)売却なのに3,000万円特別控除が使えない!?


夫婦で老人ホームに入居し、夫(妻)が先に亡くなり相続が発生した場合に、入居前に居住していたマイホームを妻(夫)が相続し、売却した場合にマイホーム売却の3,000万円特別控除が適用できない場合があるのでご注意ください!

【前提】夫がマイホームを所有しており、妻と同居していた。夫婦ともに要介護認定等を受け、夫婦で同時に一定の要件を満たした老人ホームに入居(生活の拠点が老人ホームに移転)。老人ホーム入居後、先に夫が亡くなり、相続により妻がマイホームを取得。

相続により妻がマイホームを取得した場合は小規模宅地の特例が適用でき、配偶者の税額軽減もあるので、上記前提の場合には、妻の相続税については特に問題になることは少ないかと思います。

では、上記前提で相続したマイホームを妻が売却する際に、マイホーム売却の3000万円特別控除は適用できるのでしょうか?

結論から申しますと、①相続後に老人ホームからマイホームに移転して居住した後に売却した場合は3,000万円控除が適用できますが、②相続後に老人ホームに居住したままで一度もマイホームに居住しない場合は3,000万円控除が適用できません。

居住の要件については、条文等では明確になっておりませんが、平成元年3月28日の最高裁判決によれば「所有者として居住の用に供していたこと」を要件とする判断がなされております。実務上は、当該判決を踏まえて判断することになります。①の場合は相続でマイホームを所有し、居住しているので、一定の要件を満たせば3,000万円控除が適用できることになります。

一方、②は相続によりマイホームを所有しておりますが、所有後に居住していないので、「所有者として居住の用に供していたこと」という要件を満たしてないので3,000万円控除が適用できないことになります。

マイホームを売却した場合の3,000万円特別控除は適用できなくても、相続した空き家譲渡の3,000万円特別控除は適用できるのではないかと思われるかもしれませんが、空き家譲渡の3,000万円特別控除は老人ホーム入居直前に被相続人が一人暮らしをしている必要あります(措法35条④三)。夫婦同時に老人ホームに入居する場合は、老人ホーム入居直前はマイホームに妻も居住しているので要件を満たさず空き家譲渡の3,000万円控除も適用できません。

今後は夫婦で老人ホーム入居事例も多くなり、また、空き家問題の対策も必要になってくると思いますので、法令等も改正されるかもしれません。上記のような事例が生じた場合は必ず最新法令・情報をご確認の上、税務署や専門家にご相談されることをお勧めいたします。

※上記の内容は掲載当時の法令・情報に基づくもので、あくまで参考としてご利用ください。

当該情報に基づいて被ったいかなる損害について、一切責任を負うものではございません。

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