就労継続支援事業の利用者への工賃、賃金の消費税の扱いは?
就労継続支援A型、B型の事業者が利用者に支払う賃金、工賃についての消費税の取り扱いについて記載いたします。
結論:就労継続支援A型の利用者に支払う賃金及び就労継続支援B型の利用者に支払う工賃はいずれも不課税仕入れとなります。
就労継続支援A型とB型の違いは、利用者が「雇用契約に基づく就労が困難」か否かが異なります。(下記参考条文参照)
就労継続支援A型について
就労継続支援A型については、通常、利用者と雇用契約等を締結し、就労機会の提供等を行い「賃金」を支払うので、給与等を対価とする役務提供に該当し、通常の給与と同様、消費税は不課税となります。
就労継続支援B型について
就労継続支援B型は、就労継続支援A型と異なり利用者と雇用契約を締結しないので、利用者に対する工賃は、給与には該当しません。
給与に該当しないので、利用者との契約が請負や委任に基づく契約に該当するか検討する必要があります。
請負や委任に基づく契約に該当する場合は、外注費や業務委託費になり、課税仕入れとなり、消費税の仕入税額控除の対象となります。
就労継続支援B型の工賃については、「利用者に、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならない。」(下記基準省令201条1項参照)と定めらており、生産活動に係る事業に必要な経費を構成しておらず、工賃は剰余金の分配と考えられ、課税仕入れには該当しません。よって、消費税は不課税となります。
(参考条文)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則
(法第五条第十四項に規定する厚生労働省令で定める便宜)
第六条の十 法第五条第十四項に規定する厚生労働省令で定める便宜は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める便宜とする。
一 就労継続支援A型 通常の事業所に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して行う雇用契約の締結等による就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援
二 就労継続支援B型 通常の事業所に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して行う就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準
(工賃の支払等)
第二百一条 指定就労継続支援B型の事業を行う者(以下「指定就労継続支援B型事業者」という。)は、利用者に、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならない。
2 前項の規定により利用者それぞれに対し支払われる一月当たりの工賃の平均額(第四項において「工賃の平均額」という。)は、三千円を下回ってはならない。
3 指定就労継続支援B型事業者は、利用者が自立した日常生活又は社会生活を営むことを支援するため、工賃の水準を高めるよう努めなければならない。 4 指定就労継続支援B型事業者は、年度ごとに、工賃の目標水準を設定し、当該工賃の目標水準及び前年度に利用者に対し支払われた工賃の平均額を利用者に通知するとともに、都道府県に報告しなければならない。