賃貸アパートを生前贈与!注意!【負担付贈与】
節税対策等のため、子や孫に賃貸アパートを生前贈与することがあります。
賃貸アパートの所有者は敷金や保証金を借主から預かっているケースが多いです。
その場合、賃貸アパートを生前贈与すると負担付贈与(債務の引き受けを条件に贈与すること)となり、思わぬ税負担になることがありますので注意が必要です。
賃貸アパートを贈与する際に、負担付贈与に該当しなければ①相続税評価額で贈与税を計算することになりますが、負担付贈与に該当すると②時価で贈与税を計算することになります。
①相続税評価額での評価方法
固定資産税評価額×(1-借家権割合30%)×賃貸割合
②時価での評価方法
通常の取引価額に相当する金額(時価)―負担額(敷金等)
一般的に、「時価>相続税評価額」ですので、②時価で評価されると①相続税評価額での評価よりも受贈者(もらった人)の税負担が多額となります。
負担付贈与に該当しないように賃貸アパートを贈与するには?
賃貸アパートを子や孫に贈与する際に、負担付贈与にならないようにするためには、
賃貸アパートと一緒に敷金等に相当する現金を贈与することです。(国税庁HP:質疑応答事例「賃貸アパートの贈与に係る負担付贈与通達の適用関係」)
敷金等返還義務がある賃貸アパートの贈与は、法形式上は、負担付贈与に該当しますが、当該敷金等返還義務に相当する現金の贈与を同時に行っている場合には、一般的に当該敷金返還債務を承継させる意図が贈与者・受贈者間においてなく、実質的な負担はないと認定することができるため、負担付贈与に当たらないと解するのが相当であるというのが国税庁の見解です。
賃貸アパートを贈与する際の注意点
賃貸アパートを贈与又は受贈する際には、敷金や保証金、預り金といった債務が無いかを賃貸借契約書でしっかり確認する必要があります。
敷金や保証金等の債務がある場合に、負担付贈与に該当しないようにするためには、贈与契約書に敷金等債務相当額の現金も贈与することを明記する必要があります。
もし、贈与契約書に明記が無い場合は、贈与者から受贈者への所有権移転時にアパートの賃借人が差し入れた敷金等が残っている限り、たとえ敷金の引継ぎに関して贈与契約書に記載していなくても、受贈者(新所有者)は当然に敷金等返還債務を引き継ぐことになり、負担付贈与となりますので、ご注意ください。
負担付贈与に該当する場合には贈与者(あげた人)にも譲渡所得税が発生する場合があります。
所得分散のため、賃貸アパートを子や孫に生前贈与し、相続税・所得税について節税対策を検討されている方は、負担付贈与に該当しないようお気をつけください。
賃貸アパートを子や孫に生前贈与する際は、思わぬ税負担とならないよう贈与契約書を税理士に確認してもらうことや事前に相談することをおすすめいたします。
相続税・贈与税の申告はぜひ税理士事務所おき会計にご相談ください。
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