不動産(土地、建物)を売却! 所有期間の判定 契約日?引渡し日?に注意!【譲渡所得】


不動産(土地、建物)を売却し、売却益が出た場合は、売却益に税率をかけて税金を支払うことになります。

所有期間が5年を超えるか否かで税率が異なります。

所有期間が5年を超える不動産を売却した場合、売却益は、長期譲渡所得となり、税率が20.315%(復興所得税込み)となります。

所有期間が5年以下の不動産を売却した場合、売却益は、短期譲渡所得となり、税率が39.63%(復興所得税込み)となります。

所有期間が5年を超えるか否かで税率が約20%も差があり、売却益が1,000万円なら、約200万円も税額に差が生じることになります。

このように、不動産売却時の税金の計算には所有期間が重要になります。

所有期間の判定方法

所有期間は、不動産を取得した日(取得日)から不動産を売却(譲渡)した年の1月1日までの期間で判定することとなります。

ここで重要なのは取得日から売却日(譲渡日)までの期間ではなく、売却日(譲渡日)の年の1月1日現在の期間で判定するということです。

例えば、取得日が2017年3月2日、売却日が2022年10月5日の場合は2022年1月1日現在の期間で判定するので所有期間は5年以下となり税率は39.63%(短期譲渡所得)となります。

では、所有期間の判定に利用する取得日、譲渡日は契約効力発生の日(通常は契約日)、引き渡し日のどちらで判定するのでしょうか?

結論から申しますと、どちらを選択しても良いことになっておりますので節税対策の観点からは納税者が有利になるように選択することをお勧めいたします。

取得日(取得の日)とは

原則は引き渡しを受けた日(引渡日)を取得日としますが、納税者の選択により、売買契約の効力発生の日(通常は契約日)を取得日とすることができます。

通常は契約日に売買契約の効力が発生しますが、

契約日に頭金、手付金の支払い条項があるのに、その収受が行われていない場合等で、契約日に売買契約の効力が発生していない場合は契約日が取得日とならないのでご注意ください。

譲渡の日(売却の日)とは

原則は引き渡しがあった日(引渡日)を譲渡の日としますが、納税者の選択により、売買契約の効力発生の日(通常は契約日)を譲渡の日とすることができます。

通常はあまりないかと思いますが、引き渡し日より前に譲渡代金の決済を行う場合は、引き渡し日を譲渡の日とすることはできず、譲渡代金の決済が終わった日が譲渡の日となります。

節税になるよう有利な日を選択しよう!

取得日を契約日としたので、譲渡の日を契約日としなければならないといった縛りはございません。

取得日を契約日、譲渡の日を引渡日として選択することも可能です。

節税できるようご自身に有利な日を選択することをお勧めいたします。

ただし、一度選択して、確定申告期限後に税金を払いすぎていたことに気づき選択をやり直すこと(更生の請求)は認められていないので、慎重に選択する必要があります。

更生の請求は、簡単にいうと、法律の規定に従っていない場合や計算に誤りあり、税金を多く納めすぎていた場合に税額を再計算できる制度です。

引渡日か契約日のいずれかを選択するかは法律の規定に従っており、認められた方法ですので更生の請求はできないこととなっております。

所得税基本通達

36-12  山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期

山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする。ただし、納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(農地法第3条第1項《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》若しくは第5条第1項本文《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》の規定による許可(同条第4項の規定により許可があったものとみなされる協議の成立を含む。以下同じ。)を受けなければならない農地若しくは採草放牧地(以下この項においてこれらを「農地等」という。)の譲渡又は同条第1項第7号の規定による届出をしてする農地等の譲渡については、当該農地等の譲渡に関する契約が締結された日)により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。

(注)1 山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、資産の譲渡の当事者間で行われる当該資産に係る支配の移転の事実(例えば、土地の譲渡の場合における所有権移転登記に必要な書類等の交付)に基づいて判定をした当該資産の引渡しがあった日によるのであるが、当該収入すべき時期は、原則として譲渡代金の決済を了した日より後にはならないのであるから留意する。

2 農地等の譲渡について、農地法第3条又は第5条に規定する許可を受ける前又は届出前に当該農地等の譲渡に関する契約が解除された場合(再売買と認められるものを除く。)には、国税通則法第23条第2項の規定により、当該契約が解除された日の翌日から2月以内に更正の請求をすることができることに留意する。

33-9  資産の取得の日

法第33条第3項第1号に規定する取得の日は、次による。

(1) 他から取得した資産については、36-12に準じて判定した日とする。

(2) 自ら建設、製作又は製造(以下この項において「建設等」という。)をした資産については、当該建設等が完了した日とする。

(3) 他に請け負わせて建設等をした資産については、当該資産の引渡しを受けた日とする。

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